木材乾燥Q&A
今なぜ乾燥材が求められるようになったのでしょうか?
- 理由1:乾燥材を使うことで住宅建設費をコストダウンできます。(工期短縮)
- 理由2:木材の性能が安定します。
- 理由3:海外の乾燥材が日本市場を狙っています。(国内林業の育成)
国産材の乾燥が遅れているために、海外から乾燥材や集成材がたくさん輸入されはじめています。
乾燥材にはどんな効果があるのですか?
- 効果1:寸法や強度、接合強度などが安定します。
- 効果2:プレカットが安心して利用できます。(生材では加工後に狂います)
- 効果3:乾燥収縮の手直しが必要ありません。(手直し費用が減ります)
- 効果4:工期が短くなります。(手直しの時間が減ります)
- 効果5:クレームが少なくなります。(乾燥収縮による、柱の割れや壁のひび、割れ、床の傾斜などのクレームが少なくなります)
- 効果6:カビや結露がなくなります。(乾燥材が湿度調節をしてくれます)
- 効果7:シロアリの食害や腐朽菌に強くなります。
- 効果8:乾燥収縮による隙間が出ないので、気密性が高く省エネになります。
どこまで乾いた材が必要なのですか?
まず木材を濡らさないようにして長く放置しておくと、それ以上は木材の含水率が変化しなくなる状態になります。その含水率を平衡含水率と呼んでいます。日本の平均的な平衡含水率は15%ですが、季節や地域により10〜20%の範囲があります。しかし、室内ではさらに低く12%ほどで、さらにエアコンの効いた部屋では10%程度にまで下がります。ですので、12%ぐらいまで乾いた材が理想的ですが、構造材である柱や梁などの大きな断面を持つ材をそこまで乾かすためには、たくさんの時間とエネルギーが必要となりますので、16%±2%(材内部まで)が目安とされています。また、内装材では12%±2%が目安とされます。
含水率ってなんですか?
木材の中には通常ある程度の水が含まれています。木材だけ(完全に乾かした木材)の重量に対する、含まれている水の重量の比率を含水率として表しています。例えば、ある木材に含まれている水の重量が、木材だけの重量の30%ならば含水率30%となります。もし、木材だけの重量の2倍の水が含まれていたならば、含水率200%となります。木材には100%以上の含水率があることに注意してください。
木材はなぜ収縮するのですか?
木材はパイプ状をした細胞がたくさん束ねられたような構造になっています。
パイプの周囲の部分は細胞壁、中空の部分は細胞内腔と呼ばれています。
また細胞内腔に入っている水は自由水、細胞壁に入り込んでいる水は結合水と呼ばれています。木材が乾いていくと、まず自由水が蒸発してなくなっていき、次に結合水が抜けていきます。この時、自由水がなくなるだけではパイプ状の細胞は大きさが変わらないのですが、細胞壁から結合水が抜けていくと、結合水が抜けた程度に応じて細胞壁の厚さが徐々に薄くなり、それぞれの細胞が僅かに小さくなります。
この結果、細胞の集合体である木材は全体として収縮していくことになります。
ちなみに、自由水がなくなるのは含水率30%付近ですので、木材が収縮を始めるのは含水率が30%を下回り出したころからです。